Sake
コアマガジン刊「スーパー写真塾」にてひっそりこっそりと『ニッポンイイサケヤレルサケ』という連載をしていました。
毎月1銘柄選び、その味をツバキの勝手な妄想でもって擬人化する、という企画でした。
連載自体は終わってしまいましたが、ほそぼそとこちらで公開していき、また新規銘柄にもチャレンジしていきたいと思います。
勝手な妄想を自由にさせてくださり協力してくださった蔵元の皆々様、本当にありがとうございます。
「描いていいよ」とおっしゃってくださる心優しい蔵の方の御連絡も随時お待ちしております!
(画は2012年の個展『酒と椿』開催時のメインビジュアル。着物の柄にある銘柄は協賛してくださった蔵元さんです。感謝。)
ツバキアンナ
Selection
数ある中から選りすぐりの酒を順次ご紹介します。クリックすると画と詳細を見ることができます。
たかちよ 純米吟醸 Summer Blue
夏が始まる前に手にしたSummer Blueと銘打った「たかちよ」が今回のお酒。
涼しげな水色のボトルからまったく想像しなかった味と景色は
まさに、嗚呼、パイナップル!
米からできてるのにパイナップルってすごくないですか、
パイナップル、、、そう、そこで脳内一面にひろがったのは80'sの景色でした。
安直な妄想と言われてもいい、一瞬で思い浮かんだ空気感は
80年代ど真ん中な女の子が、
まさにパイナップルなピニャコラーダをチュ〜っとストローで飲みつつ、
しどけなく男子待ちしている画と
その娘を取り巻く夏の陽射しの中の潮の香り立つ風。
直球レトロなパイナップル味の風景。
だからと言って、ベタベタとか甘々かというとそうではなく,
きちんと今の風が吹いているんですよ。
後引きが適度で、ああ、また会いたいな思う娘。
タイムマシンがたどり着いた先で出逢った娘ではなく、あくまでも今の娘なんです。
ひと夏の出逢いではあったけど
あわよくばまた来年も逢いたい、
そんな風に思わせる甘い思い出をつくってくれた、
そんな女の子がこのSummer Blue、ああ、1曲夏の歌が出来そう!
原材料名:米(国産)、米麹(国産米)
精米歩合:48%
アルコール度数:16度
30BY
山法師 純米吟醸
若々しい。
でも若くしてお見合いで結婚し、
程なく子供ができて、
世間を知るより前に母として妻として毎日を過ごし始めた
落ちついた若々しさのある女性。
一歩引いたところから夫を立て、
また、一歩引いたところからであっても、
思ったことをさりげなく伝えることができる、
とてもいい奥さんだと周囲にも評判の女性。
でも彼女にとってはそういった評判はどっちでもよくて。
意外と淡々と淡々と日々過ごしている。
春のある日、
夫から散歩をしようと言われて少し遠くまで出かけてみると
なんとそこにあったのは一面の菜の花畑。
これを見せたかったんだ、とは口数が多くない夫は決して言わない。
けど、つないだ手から染み伝わる、
十二分に感じることができた
そしてまたこれからの日々も支え支えられていこうと思う。
何十年とたったあと、
晩年に彼女が自分の人生を振り返ったとき、
あの菜の花畑のようだったなと思うのです。
なんと幸せだったことでしょう。
...と、過去も今も少し先の未来も微笑みながら語れる
そんな菜の花のような女性です。
原材料名:米(国産)、米麹(国産米)
精米歩合:60%
アルコール度数:16度
30BY
天寳一 中汲み 純米大吟醸四〇
こ、これはどっちだ....男、女、それとも...
と、性別という、最初にイメージを分けるカテゴリーがまったくあてはまらず。
いや、でもやっぱり女?あ、なんか「ノン」っぽい...?!
そう、あるアニメ作品の中に登場する
主人公ではなくライバルにあたるノン。
ダイヤモンドがよく似合う彼女がぽんっと浮かんだ。
冬がやっと終わる、梅の蕾もふくらんできたし。
そこで少し気を緩めとぼとぼ夜道を歩いていたら
すーっと冷たい風がとおりぬけ、その向こうにスッと立っていた彼女と遭遇。
遠目にも少し口角を上げたのが分かる、まさに氷の微笑を浮かべて。
女神という雰囲気はあるけど、たぶん人間であろう。
腕で風を切る仕草をしたその瞬間、なんと雪が降り始めた。
ダイヤモンドダストさながらきらきら樹々に振りかかる。
ようやく花が咲くと思ったら、蕾はまた縮こまり、春がまた遠のくのか?
あら、やっぱり女神?
いや、ここからむしろ春が加速するのです。
きゅっと引き締めてから、むしろつぼみたちは雪融けと同時に開花し始める。
冬が戻ったと震えさせておいて、そこから一気に春を呼び覚ます。
一筋縄では味わえない、
目を覚まさせておいて、そのあとフッと弛緩させる、
一瞬、油断ならないけど
あとは春を楽しむだけでいい、と優しくもしてくれる
まさにある意味ツンデレ?
いつの間にか持っていかれ、冷えて震えたことなど忘れて、
彼女が目覚めさせた春を謳歌してしまうことでしょう。
原材料名:米(広島県産)、米麹(広島県産米)
精米歩合:40%
アルコール度数:16度
30BY
武の井 純米吟醸 つばき酵母仕込
うわ!パワフルな色気!!
旨い店があると聞いて行ってみたら思いがけなくパンチのある女の子がオーダー取りに。。。
ボン、きゅっ、ボン、とはこのことか。
良い香りだし華もあって、フォワっと目が覚めた!
ちょっとアクの強い客も
かわすのではなく、ガッツリと受け止めて、なんなら溶かしてしまうような強さあり。
これは皆甘えてしまいたくなるんじゃなかろうか。
かといってビッグママ的などっしり感があるのではなく
手足はスラッと細いんです、華奢なんです。
そして裏を返しに...また華を見たくなり会いに行ってみたら...
あ、あれ!?!?
思いのほか全然男っぽい!!
あぁ、そうか最初からそうだったのか。
艶やかなルックスに見とれて初対面では全然気づかなかったよ。
実はクっとする男っぽさがあると後から気づく。
そう、インパクトあってもこの距離間大事。
むしろおかげで後腐れ無く、もっともっと会いに来たくなるんだね。
イイネ!イイネ!イイ女!
原材料名:米(国産)
米こうじ(国産米)
アルコール度数:16度
精米歩合:60%
28BY
群馬泉 山廃酛純米
仕事の後、束の間の一人の時間に一服、
それをとても満足気に堪能してる姿がなんとも良き男。
一見落ちついた大人の男に見えるけど...でも昔は結構ヤンチャしてました!
持て余すエネルギーが人一倍大きかったせいもあり、
なんだかんだモテてたので女を泣かせるのも珍しいことではなく、
触るものみな傷つけた〜♪ではないけれど
不良だったことは間違いない。
それが時を経て、幼なじみや、遊んできた仲間と会社を起こし
また、つきあってた彼女に子供が出来て一緒になり
大人の階段を登るとともに変化していきます。
刺激のある、というより自分で刺激をわざわざ産み出してた頃よりも
何もない何気ない日常をじんわりと楽しめるようになったのです。
この愛おしい日々...
と思える程には丸くなったとはいえ
変わらない、歴然と残る個性はそのまま滲み出ています。
はみ出したりはっちゃけたりした時期があったからこそ出せる
優しい笑顔にも深みが出ますね。
またそれがカッコ良くて、女性問題起こして
お嫁さん泣かすんじゃなかろうか。。。。
っていうのは杞憂でありますように!
(お燗でカッとやってから少しずつ常温まで冷めるのを味わいました)
原材料名:米(国産)
米こうじ(国産米)
アルコール度数:15度以上16度未満
精米歩合:60%
天明 槽しぼり純米吟醸(美山錦55)/無濾過純米大吟醸(夢の香40)
山の手の美人姉妹!
2つのお酒のうちどちらかを妄想しようと思って両方並べて頂いた瞬間、あぁ、これは味が全然違うのに、出自が同じ
そう、まったく似てないけどでも姉妹だ!
まずはお姉さん(美山錦)の第一印象。
お花では白いヤマユリが最初浮かんだのですが
あそこまで強烈な香りを放たない白い凛とした花がもっと似合う...鈴蘭だ。
透明感は姉妹両方持ち合わせてるけど姉の方がより硬質なガラスのよう。
凛として清楚。
次に妹(夢の香)の第一印象。
やんちゃ。可愛い。華やか。だけどやっぱりそこは良家なので
はっちゃけまくってるということはないけど悪戯好き、桃の花のイメージ。
可憐で大きな目でじっと見つめて話してたと思ったら、もう別のことに興味が移る。
勝ち気で可愛い。
さてこの2人は嫁いだ後(口開け後)どうなるでしょう。
姉はキリっとシャープでとっつきにくさが元々あり、そこは嫁入り後も大きくは変わらずですが、
人や旦那に馴染まないということはありません。
淡々と、つかず離れず、でもいつもそばで見ててくれるほどよい距離感と安心感。
妹はだいぶ丸くなります。
勝ち気さが奥に引っ込んで
かなり旦那に寄り添ってますね、嫁入り前のやんちゃぶりは少し抑えめに。
二人とも絶妙な気品と繊細さで、
年を重ねても巷では「美人姉妹」としてちょっとした有名どころのまま。
加齢でダラっとすることもなく透明なまま。
そんな二人見たさにわざわざ遠くから訪ねてくる人が後を絶たないとか。。。。
『美山錦55 生純吟』
原料米:会津産美山錦 100%
アルコール度数:16度
精米歩合:55%
2015年収穫米、27BY、生原酒
『夢の香(かおり)40』
原料米:福島県産夢の香 100%
アルコール度数:16度
精米歩合:40%
2015年収穫米 27BY
松の寿 特別純米 美山錦 生酒
しっとり.....。
また翌日も口にして、やっぱりしっとり。
毎回一口目が本当にしっとり...
湿り気を感じるのです。
液体なんだから当然?そんなことはありません、
乾いた感じを受けるお酒もございます。
でもこれはしっとりしている。
肌が?うーん、肌も髪も水分量多く、もちろん若くて
間違いなくオッサンじゃないんだけど
なんというか「しっとりした風」に包まれた青年だな!
瑞々しい!
と、ここまで妄想して不意に脳の端っこにあった記憶が蘇りました。
ずっっっと昔に由比ケ浜ですれ違った
一瞬で強烈な鎌倉感を感じた、少年と青年の間くらいの子。
あぁ、彼だ!と思ったのです。
でも鎌倉じゃない、ベタつく汐風は吹いてない。
川のように流れがある感じでもなく音もしない。
あぁ、湖だ!
もっというと海と繋がる汽水湖上を吹く風にいつも囲まれてる男の子。
湿り気といってもまとわりつく感触ではなく、
この子はむしろ間違いなく素っ気ない。
甘いマスクですがシュっとしてる目には力もキレもあり、
品もあるので湖畔には密かに思いを寄せる女子多数!
でもそこはかとなく感じられる淡い屈託感に、
単なる爽やかボーイではない距離間に、
皆その思いを口に出せず終いなんですよ〜、きっと。
原料米:美山錦 100%
アルコール度数:16〜17度未満
精米歩合:58%
27BY
屋守 純米中取り無調整生
新酒を味わいました。
シュワッシュワのまさにしぼりたて。
喉の奥に風が吹き、清々しい浮遊感。
男、です。いや、人じゃなくて、その透明感が...神様っぽい!?
風を起こすけど「風神」じゃなくて「風の神」。
古事記日本書紀にいながら出で立ちはどっちかというとギリシャ神話的。
空に舞う、キレ長の目をしたのどこまでも爽やかな男!
一陣の風を従えて...
氷上の羽生結弦が空で舞うとこうなるのかもしれない。
と、ここまで妄想して数日後、再度彼に逢おうといただくと...
ち、違う!
シュワシュワ感が抜けると一気にその甘味が前面に出てきて
硬い冬の風から一気に柔らかい春風に変わりました。
なんだろう、地上に降りて来た感が。
もしくは地上の女に恋でもしたんじゃなかろうか!?という
名実共に春が来た!という甘さにウキウキしちゃいます。
風で花びらも躍らせてる。
でも風の神であることに変わりなく、
あ、もういない...!と余韻を多くは残しません。
そして、人間の女に恋をしたとしても
最後にシュっと引いていく苦みは
やはり神と人間との間にある距離間をきっちり保ってる感じを残します。
冬から春、冷たい中にも
大地から静かに昇り始める春の息吹を取り込んだ風
それは彼が吹かせ、そしてその風と共に去っていくのでした...。
原材料名:米(国産)、米麹(国産米)
原料米:広島県産八反錦
アルコール度数:16度
精米歩合:麹米50%、掛米55%
28年2月製造 仕込み十号
流輝 純米吟醸 舟搾り無濾過生酒(シルバーラベル)
おー、キレイ可愛い女!...といってもその姿はすぐ消え去りました。
出待ちしてたもののガードマンに遮られチラ見しか出来なかった...とでもいいましょうか。
男装の麗人、...っぽいけど少し違う。女性にもモテるかっこいい女性!かな。
本人は別に意識してなかったのに女子校で周りの女性に言われるがままに
なんとなく役者になったら男役をするようになり。。。
流し目もキリっとしていてカッコ良くってあっという間にスター候補。
そんな彼女には女性ファンがキャーと歓声を上げるのは当然。
でもでも!ザ•男装の麗人、ではないんです!
女性として本来持つ色気&色香がどうしても隠しきてれない。
隠そうとしても溢れてきてしまいます...。
そう、彼女も言われるままに役者になったものの
自分の中からわき上がる「女」を制御出来ないんです。
どうしよう、もう役者=男として振る舞う、のをやめようか、
素直に女を前面に出して生きて行くか、、、でも、、でも、、、
といった行ったり来たりの葛藤が見え隠れします。
どっちに振り切るのか!?彼女の今後の選択を見守りましょう。
男装の麗人として振り切るか、
それとも女の色香をそのままストレートに出して生きていくのか...
どちらにしても未来が楽しみです、要注目です!
(「流輝」は「るか」と読みます)
原材料名:米(国産)、米麹(国産)
精米歩合:55%
アルコール度数:16度
27BY
来福 MELLOW 生酒
貴醸酒...なんです、仕込み水の代わりに一部純米酒を使う「酒で仕込んだ酒」なんです。
はい、何度かいただいたことあるんでわかります、はい、
うん、甘くてね、熟女っぽいよね、、、、って、あ、あれ!?。
確かに貴醸酒なんだなとは思うけど甘くて熟れ熟れ感っていうよりは、
むしろ「フレッシュ」感の方が強い!?
そう、熟女かと思いきや、むしろ若い女じゃないですか!!!
これは私の勝手な妄想ですが
(そもそもそういう趣旨のサイトですが改めて)
なんというか馴染みの店にいて欲しいなぁ、こんな子。
若いのに経験値がそこそこ高くて、もしくは想像力が豊かでどんな話にもうまいこと
受け応えしてくれるんですよ。
そしてそのトークも頷くばかりじゃなくて、時に刺してくれるコメントもくれる、
まさに「酸いも甘いも」提供してくれる恐ろしい女です。
且つ、そのフレッシュ感のせいで何というか手が出しづらい...
でもついついその華やかさに吸い寄せられてしまう。
甘露、にもいろいろあるけど、この絶妙なさっぱり感を持った女は
殿方には落としにくいかもしれませんね。
酔う前、OK。酔い始め、OK。肉でも食う?OK。デザートはどう?OK。...というわけで
どんなところに連れていっても対応してくれる、本当にお店に1人欲しい女の子です。
とはいえ、ビッチ感が全然!全く!ありません。むしろなかなか敷居の高い女だと思うのですが、
それをまったく感じさせません。
痩せぎすでもなく、肉感的になる一歩手前、この絶妙なバランスを...
あぁ、あと何年、否、何ヶ月保ってくれるでしょう。
いや、ほんと...私がおっさんだったら、こんな女に貢ぎたいものです!!
原材料名:米(国産)、米麹(国産)
アルコール度数:15度
川鶴 讃州オオセト70 限定直汲み 純米無濾過生原酒
うっ、荒々しい!
口開けした直後はプハッとする刺激にまずびっくり。
とっつきにくい!
でも、でも、数日に渡って味わってみると...
あらら?マイルドに?優しくなった??
でもカッと切れるのは変わらない。
旨味はガッツリと濃いのに華やか。
なんか相反するものが同居してるよ...
...ここで私は昔話に出て来た娘のような気持ちになりました。
ある村の娘は鬼にさらわれ、村人は娘を取り返そうと懸命に探し、 ようやく見つけることができたんだけど、娘は嫌がるそぶりも無く鬼の褌を洗濯してて...
最初は荒々しくさらってったのに、いざ一緒に暮らして馴染んでみると
冬には獣を、夏には川で魚を獲って来てくれるってところにワイルドさはあるものの
それってご馳走を食べさせてくれるっていう優しさだし。
いろんな意味で熟女ならぬ熟男!...なのに年は若い。
デビルマンのように悲壮感のある葛藤は持ってなくて
内にある矛盾をむしろ楽しんでる感じ。
「やさしい悪魔」ならぬ『やさしい鬼』ですよ!
♪Ah Ah ONI! My sweet little ONI♪
というわけで心配して探しに来てくれた村人達、多分両親もいたでしょうが
娘はもちろん帰る気などさらさらありません。
喜んで今日も鬼の褌を洗うのです。
ワイルドでマイルドな優しい鬼の...!
原材料名:米、米こうじ
アルコール度数:17度
原料米:讃州オオセト100%
精米歩合:70%
仕込み水:財田川地下伏流水
虎の子 富士泉
藤田酒造店
あぁ、なんという頑固な親父!
一度こうだ!と言ったら、それが間違っていようが後に引けない、まっすぐな男、もとい、親父。
あぁ、そして血がのぼったらもう誰にも止められない!
大工、屋根屋といった職人かな、若い衆をまとめる役目がある、でも一本気ゆえ周りの人間からすると面倒くさい、頭領には自らならず...
でも皆知ってる、信用に足る親父だということを。
意外と一回り下くらいの若い嫁が居そうです、「あぁこの人はわたしがいないとダメなんだから」とか言いながら。
そして意外と子煩悩、さらに意外と浮気もせず、というまっすぐな実直な男です。
どんな料理であろうが、酒は「いいんだオレはこの酒で!」と
一度好きになったらそればっかり呑みそう。
そんな男のような酒でもあり、そんな男が好んで毎晩呑んでいそうな酒です。
原材料名:米、米こうじ、醸造アルコール
アルコール度数:15度
北安大國 純米無濾過生原酒
セクシー....
といってもお色気丸出しな安直なイメージではなく、爽やかなお色気というのでもなく、なんというか色気があるのにハンサムな女性。
一瞬宝塚を思ったけれど、ちょっと違う。
きりっとセクシー、というある意味矛盾している
性質を相克することなく持ってる女。。。
色気のある舞で人を魅了するけど、絶妙な距離間がしっかりあるから、気安く触れようと思ってもピシャっとはねのけられちゃうだろうな。
花とともに舞い、彼女の周りからそこはかとなく良い香りがする...
花の香か、彼女の体臭か。
そして...なんだろう、少しだけ'縄文'を感じる。
自身のルーツを織り込む舞を見せてくれる。
そうだなぁ、色白ではなさそうだけど、それがまた色っぽい。
見る度に、その色気の部分を多く感じたり、ハンサムなシャープさの方を濃く感じたりと
受け手の気持ちや精神状態によって見え方が変わる。
だから自分が何を求めてるのか知りたくてついつい何度も、、、そう、呑みすぎてしまうのだ。
女らしさって突き詰めると男らしさの領域に入っていくんだね。
原材料名:米、米こうじ
精米歩合:59%
アルコール度数:17度
黒龍 本醸造
「斬る」....!
この単語がまず浮かび、不謹慎ながら「人斬り!」と思ってしまったこのお酒...。
キレっキレで、初めて呑んだ時は血が通ってないのか?と思ったほど。
いや、人斬り、というより「よく斬れる刀のような男」かもしれない。いや、実際斬りそうだな、と逡巡してしまう。どちらにしても眼光するどく人を寄せ付けないオーラのある、キレ味の良い男。
まったくもって女々しさのカケラもない(どんな男でも多少はあるのに)。
用心棒のように人に雇われる感じもないし、剣客でもないし、テロリスト的な人斬りでもなく、なにやって生きてるのかも不明。ただ者じゃない雰囲気からしょーもない輩につっかかられたり斬りつけられたりすることもあるでしょう、もちろん一太刀でそいつらは返り討ちに合うんですけどね。
最初に血が通ってないと思ってたのは呑むにつれ間違いだとはわかるけど、ふと触れた手もゾクっとするほどヒンヤリしてるんだろうな、よほどの偶然でもなきゃ触れるチャンスがなさそうだけど!
それにしても、なんとも冷たく舞う雪が似合うことよ!
原材料名:米、米こうじ、醸造アルコール
原料米:福井県産五百万石100%
精米歩合:65%
アルコール度数:15〜16度
(2015年3月で終売)
正雪 特別本醸造 山田錦
暑い暑い夏にでも合う日本酒、それがこの正雪!
汗だくになった後でもサラッといけるのです。なんとも涼しい風が吹くような味!瑞々しさを感じます。
これは女性ですね。凛とした、でもものすごーく透明感のある、色の白い女性がイメージされます。透明で、水のような、柳腰の女って...そうだ雪女!あ、正雪という銘柄名に釣られたわけではないですよ。
まさに夏に欲しい冷たい吐息をふ〜っとかけられたかのようなスッキリとした後味。身体のめりはりは強くないもののしなやかな腰つきに魂抜かれそう。
冷たくてきめ細かい肌と切れ長の目は美しいけど、調子に乗ると殺されちゃう(呑みすぎちゃう)のでご注意あれ!
原材料名:米、米こうじ、醸造アルコール
原料米:山田錦100%
精米歩合:60%
アルコール度数:15〜16%
仕込水:神沢川伏流水
七本鎗 低精白純米 80%精米 ひやおろし
「2Hの鉛筆!」というのが初めて呑んだ時の感想です。硬質。これを人物に例えるとどういう人?とチビチビ呑みつつ...。
うん、若い男だ!間違いなく!
でもまだ体臭無し、体毛も少なくて、緊張感が顔に残ってて...。剣士?うん、厳しく指導されてて、筋がいいのに敢えて木刀しか握らせてもらえない、
少年から青年に変わる時期の剣士!毎日素振りして自主練は万全なのに、なぜか師匠の前だと肩に力が入ってしまう、そんなウブな剣士を思い浮かべました。
でも!しょうゆ顔(古いたとえですが)だからと言って、魚しか食わないんじゃないの?と思ったら大間違い。モロ肉食系。稽古の後はバックバク鹿肉を喰らう!!
いい〜っ、そんな男児に出逢いたい!
スルスルと入ってくるのい肉食系っていうお酒は、意外と少ないのでは?画とは関係ないですが、私は大葉をたっぷり入れた餃子を作って合わせてみました。
というわけで、見た目のクールさとは裏腹に、男児の汗をしっかりと流す剣士をイメージして描きました。いずれはアッチの方もそんな感じになるじゃなかろうかと勝手に妄想され....、それはそれでモテるでしょうね〜!
原料米:滋賀県産玉榮100%
精米歩合(麹米):60%
精米歩合(掛米):80%
使用酵母:協会7号
アルコール度数:16〜17%
ロ万 無濾過一回火入れ
春!春ですよ!まさに春が来ようとしてる時に呑みたいお酒!
ロマン〜浪漫とは言い得て妙、体中から花が咲きそうな味です。
かといってワインを意識したような華やかさではなく、ベタベタする感じもない...そう、何というか'媚’がない!
一口含む度に春が近づくような、アゲアゲな気持ちになれます。
で、描くにあたって人物をイメージするわけですが、「こんな男いるのか?この味は...女?」
いや、でも、けっして女っぽくはないんです。
絶対に男!艶やかで色気アリアリ、でもふしだらな感じが一切しない。高潔な気高さを芯に持っているというか...。
少女マンガで例えると「風と樹の詩」のジルベール!歴史上だと森蘭丸...?桜の樹の下でさらっと舞って流し目チラリ、春の嵐を呼ぶ男
「キャー♡」と叫ぶ女たちをよそに、好きな男のところへ行く恋多き人生。
だけど誰も彼を縛ることはできない...。
出逢った人(呑んだ人)の心に花を咲かせる、そんなお酒です。
原料米(麹米):五百万石
原料米(掛米):夢の香
原料米(四段米):ひめのもち
※いずれも会津産
アルコール度数:16.0%
使用酵母:うつくしま夢酵母
菊水 KOUSEN(香撰) 純米
香り...華やかな香りが立ってる...けどなんだろう、この感じ。
前に出てくるわけではなくむしろ奥に見え隠れしていて...
正月を過ぎると寒くてもなんとなく春の香りを風の中に感じる、あの感じ
そう!梅が咲いてその後に雪が降った様子、雪中梅ですね
春と冬とのせめぎあいで確実に「春」はそこまで来てるけどまだ全開じゃなくて...
雪の下で咲きほのかに香りを放つ梅、小さい梅の花!
雪の中の梅の花が最初に浮かんだイメージだけどそれを人に例えるなら..
そうだ、梅の精!
雪の中にひっそりと立ち、匂い立つ花魁のような艶を持ちつつも
雪に溶け込みしとやかに春を待つ
そんな可憐な梅の精
しんしんと雪が降り積もっていても
しっかりと春を告げる彼女が向こうに見える
なんとかつかまえてモノにしようと思ってもいつも遠くに見えるだけの彼女を
どうにかして手に入れようと追いかけて追いかけて...
呑みすぎてしまう御仁がいそうです!
精米歩合:70%
アルコール度数:15%
相模灘 雄町 槽場(ふなば)詰め
「わ〜っ、プリンス!!王子っぽい〜!!」
と第一印象。凛としてるし品がある。
といってもただのボンボンとかポヨーンとしてる風の優男ではなく、もうちょっとちゃんと世間を知ってますね、
この奥にしっかりと晋がある感じは。
男性読者のみなさんにはよくわからないであろう例えをお許し願うならば、このお酒はまさに少女マンガ界に打ち立てられた金字塔『キャンディ•キャンディ』のアルバートさんですよ!アンソニーじゃなくてテリュースじゃなくて、アルバートさん。
名家の長男でありながら、レールに敷かれた自分の運命をそのまま甘受するのではなく、自分探しの放浪の旅に出てしまう、そんな王子...。
詩歌もよくするけど、それ以上に武芸の嗜みがあって、きちっと髪をまとめればそんまま王子な品性のある顔立ちなのに、敢えてそんな自分の環境に反抗して髪を下ろしてワイルドに...。そりゃもう宮中のアイドルなんだけど、アルバートさん的な運命をたどるなら、こっそり市井で庶民の生活を楽しんでしまうかもしれません。側室何人いてもオッケーな王子なので、町の女との出逢いはいくらあろうと無問題!
華やかだけどクドくはないので、食中酒として気持ち良く呑めるあたりもやっぱりアルバートさん的。...ってわかんない例えですみません!
使用米:岡山県産雄町100%
精米歩合:50%
アルコール度数:17〜18%
東洋美人 壱番纏 純米大吟醸
....うん、これは女の人です!
汚れていない、何かキレイな感じの。
もはや人間ぽくないかもしれない。
女神とか天女とか、そういう印象です。
しっかりした味なんだけど、とにかく美しいイメージ。
崇高過ぎて男が近づけないような人(?)です。
そこを敢えて男性にはチャレンジしていただきたいですね、女性にとっては憧れの存在として申し分ないお酒です。
私のような人間がこの優雅さを1mmでも手にしたかったら毎晩いただかないと、、、でしょうか...!?
使用米:山田錦
アルコール度数:16.2%
紀土 -kid- 純米酒
とってもド真ん中!な味。なのに何だろう、華やかさを感じる...。
そうだなぁ、基本的には真っ当な学問を受けてる青年なんだけど、カタブツではなくて、たとえば幕末だったら、すぐそこに異国の文化の香りが漂っているのを敏感に察知できるアンテナがちゃんとあるような。そしてそれを受け入れる度量がある、そんな余裕もあるんだけど、かといって洋に媚びることもない「中庸」を得た青年。
過程ではそこそこ厳しくしつけられて、身なりもきちんとしてるでしょうね。でも決して好奇心が縛られることはなく、新しい物を軽やかに取り入れる柔軟さを持ち合わせてるんですね。
月代ももう古い、且つ以後意味が無いとわかればすぐにやめて、ザンギリ頭で颯爽と歩きます。遠くに見える異国の文化も良いところはどんどん吸収してやろう!って意欲に溢れてる。
「和魂洋才」を絵に描いたような男!酒!それがこのKID!日本酒の良さを見失うことなく、肉料理もサラっと合わせられる、時代に沿った味だと思います。
あぁ...もう悔しいほどに学校や職場ではぜったい断トツでモテる男だ!
精米歩合:
<麹米>50%(山田錦)
<掛米>60%
使用酵母:協会7号酵母
アルコール度数:15度以上 16度未満
貴 濃醇辛口純米80
じつは私がよく行く和食のお店で、とても気に入って呑んでました。そういう意味では先入観がものすごくあったのですが...。
この「濃醇辛口純米80」は全然違った!同じ銘柄でもこうも変わるのですね!!
いわゆる「辛口」って何よ、定義がわかんないよ、と実はいつも思ってましたが、これこそが「ザ•辛口」というものではないでしょうか。スパっと切れ味のするどいシャープな味。あまり米を磨かないで造ったお酒はその雑味(旨味ですが)も含めて楽しみの一つですが、これはそれをあまり感じない...!?(もちろんいい意味で) 私にとっては初めての味の分野かもしれません。特に冷やすと本当にスッキリする、する。ジメジメの湿気もなんのその、なんて乾いたヤツなんだ...。
で、男性に例えると、歳はまだまだ加齢臭の一切しない30手前、都会的ではないけど、決してダサくはなくて、淡々と獲物を狙う日々を送り、標的を捕らえるときは一瞬の熱さを見せる...そうだ、漁師!まさに体力的にノリノリ!きっと多分アッチの方も...!アッサリ乾いた奴かと思いきや、それだけじゃないのよね。でも基本はあくまでも淡々。
そしてこの、まったく薄っぺらくない辛口は、常温になると私生活もチラリと見えて来るような...。あ、最近、子供でも出来たかな。ますます漁に精が出てる感じ。きっと舟にこのお酒を常備して、大物釣った後は一杯やるんだろうなあ。このお酒、刺身にもぴったりじゃないの。
というわけで、呑んだときにカッとくる瞬間を画にしてみました。獲物を捕らえた後は、喉を通り過ぎた後は、また淡々と...。残念ながら嫁以外は眼中になさそ!
原料米:山口県産山田錦
精米歩合:麹米60%、掛米80%
使用酵母:山口9号系
アルコール度数:15度以上16度未満